もののけもの堂に戻る

注意! 一部、15歳未満の方が閲覧するには不適切な性的表現があるかもしれません。そういったものに不快感を感じる方は閲覧を避けることをお勧めします。

管理人より



キツネの”ムコ”入り!? 2
親友…信頼
作:keyswitch






「それでは…二人の門出に幸多からん事を…」
(あーこれで今日何組目の式なんだぁ。休みだからって、朝からずーっと息子――あ、今は娘か――に、神主なんて大事なところを任せっきりにして。肝心のウチの両親は何考えてるんだ! 大体が神主なんてやっていいのかよ〜)
 樹莉は、心の中でそんな罵詈雑言をはきながらも、表面的にはにこやかな笑みを絶やしてはいなかった。そして、その優しさと妖艶さを含んだ笑みは出席者の人々に信仰の大切さを伝え、ひいては樹莉の中に宿る妖狐キリュウのエネルギー源となるのだった。
 ちなみに、耳と尻尾はあえて隠していない。あえて隠さない方が神秘性とその美しさを際だたせることが出来るからなのだが。もっとも、その辺りを神経質になってている参加者はいないようで、みんながその人外の神々しさに見入っているといった方が正解なのかも知れない。
 えっと…新郎新婦も見入るのはやめた方がいいと思うよ。絶対にこの先うまくいかなくなるから…


 そして…樹莉が神主代理をする作業が終わったのは午後2時を回った後の事だった。



「お疲れさま、お姉ちゃん」
 そういってタオルとジュースを持ってきてくれたのは、妹の瑠姫だった。
「サンキュー。昨日は居なかったのに。
 でも、『お姉ちゃん』はやめてくれよな。仮にも俺は男なんだから…」
「減点・−1点…」
「え゛」
「お姉ちゃんが自分の事を『俺』って言ったら母さんがカウントしてねっていっていたの。
 で、−10点になったらとんでもないお仕置きが待ってるんだって…」
 とんでもないお仕置き…その言葉を聞いて樹莉は震え上がった。なにせ、今までの母親からのとんでもないお仕置きの数々…ここではあえて描写できないが、その一つ一つが全て樹莉のトラウマになっている事は間違いないのだから。
「わ…わかった…二度とオ…っと、危ない危ない」
「ちっ」
「なんだよ、その嫌そうな顔は………『ボク』これなら問題ないだろ」
「…まぁ、それなら、TSのお約束にも入ってる事だし、問題ないでしょう」
 そのお約束って何なんだ!?…そう突っ込んでみたい気もする樹莉だったが、あえて反論するのをやめた。どうせ自分には解らない世界だと自己完結しているらしい。
 もし聞いていたら、一筋の光明があったかも知れないのにネェ。TSには『俺っ娘』ってのも有りだよ♪ ということに…

「それに母さんに止められたのは『俺』って言葉だけだし」
「それで、見張りついでに、オ…ボクの手伝い兼お目付役を瑠姫がしているって訳か」
「まぁね。女の子になったお姉ちゃんも奇麗だし、物腰も、自然にだけど女の子らしくなってきてるし…」
「そ…そうなのか!?…自分では全然気付かないけど!?」
 ま、そのあたりは、樹莉の中に入っているキリュウが樹莉に気付かれないうちにこっそりとしぐさしているだけなのだが、その事を知っているのはとうのキリュウと瑠姫しかいない。
「そうよ、いまだって…ほら」
 そう言われて…樹莉ははっと気付く。
 いつもなら、座敷では例え親がいようとあぐらをかいているのだが、いまは正座をしているのだ。しかも少し脚を崩していかにも女性らしいポーズを取っている。
 もし瑠姫以外の第3者がこの姿を見たとしたら…一発で虜になること受け合いだろう。
「…い…いつの間に・というか、何気なく座ったつもりだったのに…」
「それは、お姉ちゃんが女の子になり始めたという証拠なのよ」
 ハッキリ言って嘘である。が…
「そ…そう…なのか?」
 ハッキリと否定できない樹莉がそこにあった。

(よし、『お姉ちゃん化』第1段階は順調に進んでるわ)
 瑠姫は心の中でそうガッツポーズを取る。ちなみに減点制度は瑠姫のでまかせではなくて本当の話らしい。





 あ、そう言えば、曜日の説明をしてなかったっけ(手抜きな作者だ…)

 樹莉がキリュウを取り込んだ(取り憑いた?)のが金曜日のこと。そして、昨日はアルバイトの練習のつもりで父親の仕事を見ていよう…と思っていたらいつの間にか神主をやらされることになり、午後から神主代理をやったのだが、これがまぁ大好評となり、今日も結局1日神主をやらされることになったのだった。
 ということで、今日は日曜日。

 もう一つ説明。樹莉の服装。
 結局、金曜日の夜に、母親の妹がやっているという衣料品店に無理矢理連れて行かれて、下着類を購入させられたのだった。しかし、スカートを買おうとした母親を止めるのに一苦労したという。
 で、結局衣装は決まらず…そのまま巫女さんの衣装を着ることになってしまったのだった。最初は嫌々だったのだが、着てみると何となく動きやすくて、その後はついつい着てしまっていた。
(ちなみに洋服一式は母親がこっそり購入していたりする)



「で…今日はあと何回こんな事をしなけりゃいけないんだ?」
「今日はこれでお終いだって」
「ふぅ、よかった。こんな恥ずかしい真似をこれ以上やってたら死んじゃうよぉ」
(惜しいですねぇ。結構美味しい霊波がしょくせましたのに、今日はこれで終わりですか…残念です)
「残念じゃなーい!。俺の人生ぶちこわしにしやがって!!」
「はい、減点−2」
「!!…しまった、つい…」
 学習機能がないわけではない。ついつい強くいうと忘れてしまう…単純なだけなんだ。

「でも…昨日・今日と、ずーっと立ちっぱなしだったはずなのに、全く疲れていないのはなんでだろう?」
(それはそうですわ。わたくしは妖怪ですから…疲れると言うことは有りませんわよ。妖力を使い切れば倒れてしまいますが)
「ふーん…なら、かなり無茶をしても何とかなるって事か」
(その分妖力を使いますから…貴方が自由になるのが遅くなっても良いのでしたらかまいませんよ)
「う゛」
 そう言われると何も言えなくなる。樹莉としては、1日でも早く元に戻りたい…のだが、いかんせん最初に『20年』と聞いてしまっているので、落ち込まずに入られない。


「あ、そうだ。母さんが『バイトの方が終わったら自分の部屋へ戻ってきて』って言ってたわよ」
 と、瑠姫が、思い出したように言付けを伝えてきた。
「え゛・母さんが………あ…ああ、解ったよ」
 何故か浮かない表情の樹莉だった。まぁ、それもそうだろう。
 なにせ、母親は樹莉が女の子になった直後から、事あるごとに『女の子らしい衣装を着なさい』って言ってくるからだ。流石にそれは勘弁して欲しい樹莉としては…とにかく逃げ回ることだけに専念していた。神主の仕事も本当は全くやる気など無かったのだが、母親から逃げるという手段の1つとしてやっていたのだから。
 だが…呼ばれた以上行くしかない。しかも待っているのが自分の部屋では…逃げる手段が見あたらない。
「はぁ…しょうがないか」






「話っていった……い…」
「あ、お仕事終わったのね。
 こっちも丁度届いたところなのよ」
 そう言って、自分の部屋で母親がハンガーに掛けている物。それは…学校へ行くと見る物ではあるが、自分には絶対に必要ないと思っていた代物だった。
「もしかして………それって、いわゆる…せぃらぁふくというものでは?」
「そうよ。体育系の学校だったから在庫が少なくて無いかと思ったけど、何とか手に入ったのよ」
「…それを………俺に着ろと?」
「…瑠姫ぃ、今何回目?」
「えっとね、これで−3だよ」
 いつの間にか、後ろには瑠姫が立っていた。
「…いつの間に…」
「部屋が隣同士なんだから当たり前でしょう」

「で…本当にそのせいらぁふくを、オ…ボクに着ろと?」
「へぇ、ボクっ娘って可愛いって話には聞いてたけど、実際に聞いてみると本当に可愛いわね」
「でしょう、だから『ボクっ娘』はオッケーだよね」
 同意を求める様に話す瑠姫。もちろん作者としてはオッケー。だとすると、母親の答えももちろん…
「もちろんオッケー。『私』よりも萌えるしね」
「変な事を承認するなーっ!。
 大体がボクには学生服があるだろう。わざわざそんなモノ用意する必要なんて無いだろう」

「ほほぉぅ…となると、神道系の学校に行くという訳ね」
「何でそうなるんだよ!」
「あなたの今通ってる学校は、女子はセーラー服を着るって校則にあるのよね。でも、神道系の学校にはそんな校則はないわ。
 ということは、自ら進んで神道系の学校に通ってくれるのね。母さんとしてはその方が嬉しいわぁ」

 ダマされた…と思ったかどうかは解らないが…樹莉は究極の選択を迫られている様なものだった。

 つまり…今まで通り学校に通うためには、目の前にあるセーラー服を着なくてはいけない。逆にこのセーラー服を着なくて済む方法は、両親の進める神道系の学校に通うことを承諾しなければならない。あ、ちなみに普通校への転校は、樹莉の学力が示すとおり実質上不可能と両親も・そして当人自身も思いこんでいる。


 っと、実はこの辺り、多分に隠された嘘が含まれているのだが…何せキリュウはここ千年間生き続けてきた妖狐なのだ。ゆえに、歴史・古事関係の知識に関しては、はっきりといってそこら辺にいる歴史学者の比ではない。おまけに神として崇められていたので、それなりの知識というのも充分に持っている。つまりは人間としての知識も十二分に知っているのだ。
 なので、普通校どころか、今すぐにでも一流大学へは入れるくらいの知識を持っている。
 大体が、今まで一度も見たことがないはずの神主の仕事を、樹莉が何の問題もなくこなせている事自体、不思議に思わなければいけないはずなのだが…誰1人としてその事には気付いていなかった。
 まぁ、作者としてはその方が楽なんだけどね。


 結局は、神道系の学校なんてまっぴらゴメンな樹莉としては………
「………着れば………いいんだろ………」
 まるで、心の奥底から無理矢理引きずり出したような声で答えるしかなかった。
 ご愁傷様。導いたのはこの私だけどね(クス)


「それじゃあ、試着してみてね。問題あったらすぐに交換してもらえるように手配してあるから♪
 あ、着替えるの手伝わなきゃいけないわね。女の子の服なんて着たこと無いんだし…」
「いらない!!
 キリュウが全部知ってる!」
((ちぇっ))
 樹莉の耳に2つの舌打ち音が聞こえたが…あえて聞こえなかったことにしたらしい。
「つーことで、2人とも外へ出てってくれよ」
『はいはい』
 そう言って、残念そうな顔をしながら母親と瑠姫は外へと出る。



 そして…扉を閉めて一人っきりになると、目の前にかけられたセーラー服を見て…ため息を1つ付く。
「はぁ…これも運命なのかなぁ…なんて過酷な運命なんだろう」
(でも、自ら進んで女性の服を着ていた男性もわたくしは知っていますが?)
「…それは『変態』っていうんだ。通常の男ならそんな事はしないぞ」
(でも、あなたは今・女性…)
「誰のせいだ・誰の!?
 …って、いまさら怒ってもしょうがないのか………で、キリュウは女物の洋服の着方は知ってるんだろう?」
(ええ、まぁ一通りは)
「なら………教えてくれ」
(あなたも『変態』なのですね?)
「違う!!!」
 とまぁ、キリュウの声は当人と瑠姫以外には聞こえていないので、端から見たらやっぱり変な人としか見られない様な会話をしながら、今着ている巫女装束から着替えを始めた。





(さてここで、お約束な人を追加してみるとしましょう。え、何でこんな所でキャラクターを増やすんだって?。それ勿論…お約束な事をするからに決まってるでしょう)

 場所は変わって、神社の前・ちなみに時間も少し戻る。
「そう言えば、樹莉…今日は顔出さなかったっけ…一体どうしたのかしら?」
 神社の階段を見上げながら、彼女・鈴城 佑狐(すずしろ ゆうこ)はふとそんな事を思い出した。
 彼女は、樹莉の幼なじみで、小学校時代からの同級生なのだ。まぁ、気心の知れた親友といったところか。
 ただ、彼女の場合、樹莉のように運動神経がバツグン…と言うわけではなく、ごく普通・標準程度の運動神経しかない。ただ1つ、動体視力を除いては。
 ただし、それもスポーツには必要だけど、それ『だけ』では使える場合が限られるわけで…彼女の場合、何故体育系の高校に進学したのか不思議な位なのだ。ちなみに学力は結構良い方なので…何でそんな学校に行ったのかは、まぁ、みなさんの想像通りとだけ言っておきますか。


「いままで風邪1つ引いたこと無いのに、何かあったのかなぁ?」
 彼女の言うとおり、樹莉は今まで病気といえる病気はただの一度たりともしたことはない。もちろん皆勤賞継続中なのだった。むろん、部活動も休んだことがない。
 そんな彼が、何の連絡もなく2日連続で休んだ・それだけで、学校中は上を下への大騒ぎ…にまではなることはなかったが、ありもしない噂が飛び交っていた。まぁ、家が神社であったことも尾ひれを付けることになったのだが。
 曰く

『悪霊退治に失敗した』(当たらずといえとも遠からず)
『物の怪に取り憑かれて、封印されている』(半分くらいは合ってるね)
『神社の階段を転げ落ちて、途中にいた女性と一緒に落下・身体が入れ替わっておたおたしてる』(…誰だろう、こんな事言ったのは…やっぱし半分くらい当たってるけど)
 等々
 様々な憶測が飛び交っていたのだった。
 まぁ、佑狐自身はそんな風には思ってはいないのだが、やっぱり親友が休んでいるのは気になるようで…そのまま神社の階段を上りだした。



「あら、佑狐ちゃん、いらっしゃい」
 まぁ、かってしったる親友の家、応対に出て来た母親も一目見るなり快く迎えいれてくれる。
「あの…樹莉は、樹莉は一体どうしたんですか?」
「………」
 流石に『キツネに取りつかれて女の子になってしまった』とはいえず。かといってそうすぐにいい嘘が出る訳も無く…とりあえず、
「ちょっと風邪を引いちゃってねぇ、部屋で寝てるんだよ」
「あの樹莉が…風邪?」
 ちなみに佑狐の前で、寒中水泳した挙げ句、そのまま帰ったと言う暴挙にでたにもかかわらず、次の日はけろっとした顔で学校に出て来たと言う微笑ましい記憶があるように、樹莉が風邪を引いた事など、記憶の底をいくら引っ張り出しても出てこない。
 そんな樹莉が2日も学校を休んで風邪で寝込んでいる。
 …それを知らずに自分は…お見舞いにもこなくて…
 そんな風に自分を責めるように佑狐は…考えたらしい。

「おばさん、失礼しますね」
 そういうと佑狐は、玄関を上がると一直線で樹莉の部屋へと向かった。かってしったるなんとやらが裏目に出たと言うところか…。
「ちょ・ちょっと待って………はぁ、しょうがないか。まぁ、佑狐ちゃんなら多少の事では動揺しないから大丈夫でしょう」
 そういいながら、母親は佑狐の走りさる後ろ姿を見ながらため息をついた。
 すでに『多少のこと』ではないことだと思うんですけどねぇ、お母さん?





 ガラッ
「ねぇ、樹莉!、風邪は無事………なの………」
「………佑狐………」
 ある意味、これほど気まずいシーンがあるだろうか。
 見つめ合う女性二人。しかも1人は着替え中………
「…樹莉…なの?…」
「…あ、ああ…」
 あぁ、間抜けな会話…

 そりゃあ…ね、どっちも女の子なんだから、別に見た・見られたなんていうこともないのだが。かといって、着替えてる方は数日前までは健全な男の子。おまけに…ショーツの上からふさふさ尻尾がしっかりと出ているし、頭の上にはぴょこぴょこと動いている耳が出ている。こんな姿を見て…すぐに反応できるとしたら究極の『コスプレ少女』でもない限り不可能だろう。
 固まったままになる2人。樹莉は幼なじみの女の子に変わってしまった自分を見られてという所から。佑狐は、樹莉がいると思って入った所に、知らない女の子が着替えをしているのを見て…どちらも何も言い出せずに固まってしまったのだった。



(しょうが…ありませんね)
 そういって、キリュウは一時的に樹莉から身体の自由を奪う。
(…あ、あれ?…身体が動かないぞ!?)
「少し身体を使わせていただきますね」
(そんな事出来るなんて聞いてないぞ!)
「ええ、言ってませんから…もっとも、多少妖力を使いますが…」
(そんな事したら、俺が元に戻るのが遅くなるだろうが!)
「いえ…妖力を貯めるのにもう一つの方法があるんですよ。今からそれをするだけです」
 そう言うと…樹莉・もとい、キリュウは佑狐へと近付いてゆく。そして…妖艶な笑みを浮かべながら佑弧の頬に軽く右手を当て、
「少し、霊力…いえ、快楽の味を頂きますね…」
「か…快楽って……?」
「大した事ではありません。人間の本能の一部の悦楽を頂くだけです」
(ちょっと待て。佑弧に何をする気だ!)
「なにって…ナニをするかぐらいわからない年ではないのではないでしょうか?」
 キリュウは、佑弧の目をじっと見つめる。と、佑弧の目がうつろになってきた。まぁ、俗にいう催眠術の一種だろう。どちらかというと人を操る妖術なのだが、キリュウにとっては至極簡単なこと。
「では…参りましょうか」
「…はい…」

(やめろぉ!、佑弧に手を出すな!)
「別に女性同士ですから何の問題もないとは思いますけど?」
(そういう…問題じゃなくて………)
「じゃあ、何か問題でも?」
(………どう言えばいいんだ………)
「別に、殺したり、怪我をさせるつもりは毛頭ありませんからご心配なく」
(………勝手にしろ。ただし、佑狐に傷一つつけてみろ、その時は………)
 別にどうする事も出来ないのだが、流石に彼を傷つけまいとしたつもりなのか、
「もちろんですわ」
 流石に、これからの関係を考えてそう答えるキリュウだった。



 そして…樹莉のベッドの上…
 樹莉と佑狐は…お互いに見つめあっていた。はっきりいって、一番どきどきしているのは樹莉本人だろう。身体をキリュウにのっとられているとはいえ、意識はしっかりしているし、見る事も感じる事も出来るのだから。ただ、身体の自由が無いだけ…
 …どちらからとも無く顔を近づける。そして…唇を重ねる。
(俺のファーストキスがぁ…)
 それって普通、女の子が言う言葉じゃないだろうか?
「だいじょうぶですよ。どうやら彼女もそうらしいですから」
(何の解決にもなっていない!)
 悪態をつけるだけまだましなのかもしれない。すでにキリュウの右手は佑狐の胸へと回っていた。
「んっ…」
 キリュウはじらすように服の上から佑狐の胸をゆっくりと触っている。それに反応するかのように、佑狐はときおり身体をピクッと反応させている。
「この…快楽を感じている女性から放たれる感情が、わたくしの妖力を一番簡単に回復させてくれますから…本当に美味ですねぇ」
(…した事あるのか、お前は)
「もちろんですよ。昔は、村一番と呼ばれた美しい少女を妾にしていましたから」
(めかけって…どんな神様だったんだ!?)
「別に、無理矢理なんてしてませんよ。彼女の方からわたくしの所へ来てくれましたから」
(そう言う関係ってって、昔からあったんだな…)
 まぁ、人間なんてそんなもんですよ。昔から業にまみれた生き物だったと…だからこそ神様に頼るようになって、エセ神のキリュウなんて存在も出来たんだから。
 と言ってる間に、キリュウは佑狐の後ろに回りこんで…右手はそのまま胸に、そして左手はスカートをめくって、あそこへと手を延ばす。あ、あそこってどこかって?…それはご想像にお任せします。作者としてもご用になるつもりはもうとう無いですから。
 そして、左手はショーツの上から、あそこを触るか触らないかの微妙なタッチでなぞりあげてゆく。
「ん…くっ…はぁ………樹莉ぃ…もっと…して…」
(やってるのは俺じゃないーーー!)
 と心の中でいくら叫ぼうが、佑狐の耳に届く訳も無く、代わりにキリュウの、
「もっとって、どこを?」
「いじわるぅ…上も下も…両方………」
「よくいえましたね」
 そういって、キリュウは………

(これ以上する気か?)
「もちろんです。当人が望んでる事ですから」
 右手はブラの中へ…左手はショーツの中へと直接手を延ばす。
「うっ、うん…そこ………そこがいいのぉ…」
 すでに、顔は真っ赤で、呼吸も荒くなり始めた佑狐は、自らキリュウに身体を預けて、快感を得ようとし始めている。
「もっと、欲しいのですか?」
(もういらん!。早く止めんか!)
「うん…もっと…気持ちよくして欲しい…」
「じゃあ…わたくしの、しもべになりますか?」
(しもべ?…なんだそりゃ)
 聞きなれない言葉に不思議に思う樹莉。
「うん…なんでもなるから…もっと…して」
「では…契約の証として…あなたにも………」
 そういうと、キリュウは、佑狐に二度目のキスをする。しかし、今回のキスは…何かを口移しに与える為にくちづけをしたのだった。その証拠に、佑狐の喉からコクコクと音がしてくる。
 長いくちづけの後…見つめ合う二人。そこには…
(ちょっとまて、何で佑狐の頭にも俺と同じ耳がついてるんだよ。それに、佑狐のスカートから出てる物って、キツネの尻尾じゃないのか!?)
 そうなのだ。今の佑狐には。樹莉と同じように耳と尻尾が付いていたのだった。違いといえば、佑狐は黒髪から茶色のキツネ耳がはえているところぐらいか…尻尾は、負けず劣らずのふさふさ尻尾。
「あら、良くお解りで…彼女にはわたくしのしもべになって頂きましたので、その能力を充分に発揮できるように力の一部を分けてさし上げたのです」
(って事は、もしかして佑狐もキツネっ娘になっちまったのかぁ!)
「ご心配なさらずに。今のようにわたくしが表に出てきているときだけ、彼女には力が発揮できます。そして、例外を除いてその時しかこのような姿にはなりません。樹莉さんの時は、ごく普通の女の子ですよ」
「キリュウさまぁ…もっとしてくださいらないのですか?」
「今日はこれぐらいにしておきましょう。これ以上は私の妖力が続きませんので。では、後はよろしくお願いしますね、樹莉さん」
「できるかぁーーーー!!!」
「樹莉ぃ…ねぇ、続きぃ」
 どうやらキリュウの催眠が解けるまでに後少し時間がかかるらしく、佑狐はまだ樹莉にねだってくるのだった。しかしその身体からは、キリュウの言葉通り、耳と尻尾はなくなっていた。
「キリュウ!、どうすりゃ彼女は元に戻るんだ!」
(慌てて戻さなくても…しょうがありませんね。キスしてあげてください。そうすれば元に戻るはずです)
「キ・キスだぁ!?。俺にそんな事させるつもりか!!??」
「ねぇ…樹莉ぃ…つづきぃ」
 あられも無い姿で抱きついてくる佑狐に…結局樹莉は覚悟を決めてキスする事に。

 そして…軽く唇を触れる。
 と、
 佑狐の目に光が戻ったように見えた…が、
「樹莉ぃ…もっと…強く抱いてよぉ…」
「こら、キリュウ、元に戻ってないじゃないか!」
(おかしいですねぇ…あ、そう言えば、しもべにする時に呑ませる液体って、多少ですか崔淫効果があったんでしたっけ)
「だぁぁ!、それを早く言えぇ。で、本当にもとにもどすには!?」
(まぁ、一回イってもらえれば、元に戻りますよ。崔淫といってもたいした力はありませんから。
 それにほっておいても、1時間ほどで元に戻りますし)
「一時間だな、よし」
 そういうと、樹莉は、佑狐を強く抱き占める。
「このまま………って、おい佑狐、何で俺のスカートの中に手を入れてくるんだ!」
「だってぇ…樹莉ったらしてくれないんだものぉ。こういう風にして欲しいのよぉ」
 そういいながら佑狐は樹莉のあそこに手を回す。そして指が触れた瞬間、樹莉は一瞬、今まで感じた事の無いような快感を身体中で感じた。
(これが…女の子の感じ方なのか?…男の時とはまるで違う…)
(そうですわ。あなたももっと、女性の心地好さを知るべきです)
 10分前の樹莉ならば『絶対嫌だ!』と言っただろうが、今までのキリュウと佑狐の感覚も味わっている樹莉にとっては未知の恐怖であるとともに、甘美な感覚も感じていた。
(さぁ、お返しに佑狐さんへ、先程された事と同じ事をしてさし上げなさい)
「あ…ああ…」
 言われるままに、樹莉は手を佑狐のあそこへとはわす。そして…そこをなぞるように指を動かす。それに連れて佑狐の頬が赤くなり…お返しとばかりに樹莉のあそこの指の動きも速くなる。




 そこからは…どっちが先にイってしまったのか定かではないが…樹莉がふと気がつくと、佑狐と抱きあって一緒にベッドに横になっていた。
 自分の横で安らかに眠っている佑狐の顔を見ながら…気恥ずかしさもあったのだが、『大切にしていきたい人』を見つけたような優しい笑みを浮かべる樹莉だった。






「そろそろ、おじゃま虫が入っても問題ないわね」
「…見てたのか、母さん」
「そりゃあ、あれだけ気持ちよさそうな声を出されちゃあ誰だって気付くわよ。
 父さんを拿捕するのにどれだけ苦労したと思ってるのよ。あ、瑠姫は聞き入ってたけどね」
 家族全員に今の事がばれていた…それだけで真っ赤になる樹莉があった。



「で、結局のところ…ばれちゃった訳ね…」
 母親の言葉に、普通の女の子らしく着替えた樹莉と(結局スカートをはかされたらしい)、なんとか気が付いた佑狐の2人は…お互いうつむいたまま顔を上げようとしない。
 まぁ、実際の所、両方とも単に『恥ずかしい』だけなのだが…樹莉も佑狐も今まで来ていたことをしっかりと覚えている。もちろん自らねだって身体を重ねたことも…
(なんで私の書くお話に出てくるキャラクターって、こんなに純情なんだろう?…あ、私?…ダメですよ。真っ黒に塗りつぶされてますから)

「さて…学校側にはもう説明してあるんだけど…どうしようっか」
「………どんな説明をしたんだよ?」
「えっとね『日本には俺より強い存在はない・だから、世界を回って武者修行してくる』といって飛び出していったって事に…」
「無理がありすぎだぁ!」
「大丈夫、校長先生は納得してたわよ」
「………納得するのか?、そんな説明で」
「で、『そんな我が子がいなくなった哀れな両親に、私達の信仰している神様が、同い年の女の子を、神の分身として授けて下さいましたので、その子に同じ名前を付けて育てることにしました』とね」
「絶対無理だぁ!」

「だから、県教職員組合にも納得させたんだから♪」
「…ウチの学校の教師は…バカばっかりだったのか…」

「ということで、学校側は納得させたんだけど…佑狐ちゃんにばれちゃったから、もう今の学校には通えないわよねぇ♪」
 結局は、自分達の都合のいいように持っていきたいだけの母親に佑狐が、
「私が…このことを口外しなければ問題はないんですよね?」
「佑狐…」
「大丈夫だって。…結局、私も樹莉と同じで、キツネになっちゃったんでしょう?」
 確かに…今はキリュウが表に出ていないので佑狐はごく普通の女の子だが、キリュウが表に出てくると…
(いえ、さっき例外があるといいましたよね。別にわたくしが表に出なくても、樹莉さんがあることをすれば佑狐さんの姿は変わりますよ)
『え、そうなの?』
 3つの声がハモって顔を見合わせる。
 樹莉と瑠姫は聞こえるが…佑狐にも聞こえたらしい。
「お姉ちゃんの他にも、佑狐お姉ちゃんもキツネっ娘になったんだぁ。ねぇ、見せてよぉ」
「こら、瑠姫。無茶言うな!」
「…別に…かまわないけど………」
「おい、佑狐…」
「どんなのかなって、自分でも気になってるんだけど」
 流石に本人に言われては断る理由にならない。しょうがないと思いながら………
「おぃキリュウ、どうすれば佑狐を変身させられるんだ?」
 …それくらいちゃんと聞いておけよ…
(簡単ですよ。くちづけすれば…)
「………ぉい………じゃあ、俺と佑狐がキスしろと?」
(まぁ…そういうことですね。あ、戻るときも同じですから)
「………やらない………」


「私は…樹莉だったら…いいよ」
「佑狐、おまえ、言ってる意味解って言ってるのか?」
「解ってるわよ。
 …私のファーストキスだったんだから忘れるわけないよ…」
「俺…だって…」

「じゃあじゃあ、見せてもらってもいいんだよねー」
「母さんと瑠姫は、外にでてってくれ」
「えー」
「出てけ!」
「はいはい、さぁ瑠姫、行くわよ」
「ふぁーい」
 そう言うと、2人は樹莉の部屋を後にする。 



 もう、この2人に言葉はいらなかった。
 お互いに見つめ合い…そして、どちらからともなく顔を近づけていき…くちびるを重ねる。
 どちらからともなく、腕を相手の身体に回して抱きしめる。もう二度と離れたくないとでもいうように… 
 
 これが、彼女たち2人にとっての本当のファーストキスだったのかも知れない。
 そこには…キツネの耳と尻尾を持った2人の少女がキスしている姿があった。それはまるで絵画のような美しさがあった。







「瑠姫…写真は撮った?」
「もちろん。母さんもちゃんと隠しカメラを取り付けたんでしょうね?」
「抜かりなんて無いわよ」
 ………あんたらなぁ、最後の最後ぐらいきれいに決めたかったのに………
 そこには、鬼畜化した2人が入り口から覗いているのだった。

 …本当にあんたら血族なのかぁ?


「あ、そうだ、ねえ瑠姫、今日樹莉って何回『俺』って言った?」
「んーとね、7回…あ、あの時に無意識で4回言ってたっけ」
 …作者も無意識に書いてて覚えていないことをよく覚えてるな、瑠姫は。
「てことはトータル11回か。お仕置き…は、まぁ、いいシーンを見せてもらったから今回は許してあげましょう」
 良かったね、樹莉ちゃん。





 結局、その後、無理矢理巫女さんの服を着せられた佑狐は、その姿がピッタリとはまってしまい、同じく着替えさせられた樹莉と一緒に、母と瑠姫の即席カメラマンによって撮影会となってしまった。
 おまけに、樹莉が神主をするときには、巫女の手伝いをすることを約束させられてしまったとか。
(しかし、彼女は言葉では嫌がっていたが、けっこう乗り気だったりする)


 ちなみに父親は、最後まで自分の部屋に軟禁されていたという。
 こういう時って男って立場がないというか何というか…合掌。



 続けて………いいのかな?





途中まで、同級生は男の子だったのに…いつの間にか入れ替わってしまった(汗)

こんな途中経過があったんですが、没になりました。まぁ、女の子同士の方が私としては書き易いって理由と、とある1枚の絵が原因…って、他人の性にするな・私!

しかし…続きといっても、『学校編』になるのは目に見えているわけで…うーん、苦手な分野だぁ。



この作品の感想は感想掲示板へどうぞ。

もののけもの堂に戻る